《初等教員養成課程の学生は、本当に中高免許が取れないのか?》(2018年12月15日)


 平成28年度からの初等教員養成課程の学生は、卒業時に小学校教員の一種免許状をとることができます。
しかしながら、中学校教員免許については、教科テストにおいて一定の基準をクリアした学生が、二種免許を取るための授業を受講してよい、とされました。
高校免許については、二種免許はないため、取得は一切できません。

 この事は免許の問題にとどまりません。教科選修制では、中学・高校一種免を取る学生が多かったということもありますが、教科の内容を深く学び、その中で指導案や授業の組み立てを学んでいたのです。

 私たち大学教員側からみると、小学校教科の内容を中学・高校での発展を踏まえて学ぶことは非常に意義のあることに思えます。加えて、教科書の行間を読んで教えるべきポイントを押さえるという点では、実は高校や中学校の方が相対的に易しく、小学校の方が教科内容の深い理解が必要という逆説があります。

 以前は各選修のなかでそんなことを学生たちは実感しつつ学び、一つの得意科目を持って教壇に立つようになっていました。小学校教員は確かに全科対応する力が求められますが、そのための核を作れるかどうかは大きな課題といえるでしょう。もちろん、その核が教科内容でなく教育システム、生徒指導、心理援助などであることもよいと思いますが、多数の学生が教科の核をもたなくなること、そもそも核を作ることが難しいカリキュラムになったことを危惧します。

 現在、卒業研究のことでも、方針が曖昧で学生も教員も大変困惑している状況です。

 現在の教育界をとりまく種々の問題に目を向け、改善を図りつつ、主軸としては、もとのカリキュラム内容に一刻も早く戻すべきです。